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「素人とプロの違いとはなんだと思う?」


社会人になったばかりの私にそう質問した先輩。その先輩は会社で一番の売上げを上げるスーパー営業マンでした。私が思うにその先輩は営業職の「プロ」中の「プロ」。そんなプロ中のプロの先輩からの質問に、私は思わず、

「先輩みたいな人がプロだと思います」

っと答えました。先輩は喜びましたが、「それじゃ〜答えにならんじゃないか〜」って笑っていました。笑っていたのですが、先輩は答えを教えてはくれませんでした。そして今だにその答えを聴かせてもらえていません。


さてさて、改めて「プロってなんなんだろう?」って考えたわけです、私。「プロになりたい」とよく言いますが、その人にとって「プロ」とは何を意味するのか?それによって「プロになりたい」の意味がまったく異なると思ったからです。私はまず最初に「できる」「できない」という単純な軸で考えは始めることにしました。


一般的に人が何かをできるようになる過程、いわゆる「成長のステップ」は4つステップで説明できます。

1.「意識していない状態(無意識)」で「できない」
2.「意識している」が、「できない」
3.「意識して」、「できる」
4.「無意識」で、「できる」

の4ステップです。人は例外なくこの4ステップを踏んでモノゴトができるようになります。

例えば、車の運転ということで考えてみましょう。

子供のころ、自分が車を運転するという意識すら上らないものです。車は大人が運転するもので、自分が運転するなんて思いもよらないわけです。(第1ステップ)そんな子供が成長し、だんだんと車を運転したいなぁ〜って思うわけです。彼女とドライブデートしたいなぁ〜なんて淡い欲も出てくるわけです(笑)がしかし、はたと気付くわけです。どうやって運転ってするのだ?オレ、運転できるんだろうか?と(第2ステップ)で、どうするか?よーし、運転できるようになるために、教習所へ行くぞ!!となるわけです。教習所に行ってチョット練習すると、あれ、意外と運転できるんじゃないの〜と思ったり、クランクでポールにぶつけたりして、あら〜オレヘタクソだなぁ〜なんて落ち込んだりして。。。(笑)

そんな浮き沈みを経て、晴れて教習所を卒業し、運転免許書をゲット!コレで運転できるぞ〜となるわけです。いざ運転!え〜とサイドブレーキをはずして、アクセルを踏んで、あれ、ミラーなおすの忘れた〜なんていいながら運転するわけです。ぶつかりそうになって肝を冷やすなんてことも。で、ここでやめてしまうといわゆるペーパードライバーですね(第3ステップ)

そんなこんなで、ぎこちない運転を続けているうちに、あるとき無意識でも運転ができるようになってきます。この段階までくると、人はサイドミラー直して、アクセル踏んでだとか思わず、無意識で運転できるようになるわけです。この段階まで行くと、体に染み付いていますので、仮に長い間運転しないくとも、車に乗ったらすぐに運転できるものです(第4ステップ)

いかがでしょうか。これはあくまで車の運転ということですが、ほかのどんなことも同じ成長ステップを踏んでいくと私は考えています。

で、何かができるようになる上で、一番厄介なステップが2⇒3のステップです。車の運転の例をとると、教習所で運転を習っているころから、無意識に運転できるようになるまでの段階です。この段階はどうしても

「ぎこちない」

わけです。もしかするとかるーくぶつけてしまったり、彼女を乗せてドライブ中にかっこ悪いところを見せてしまったり・・・。そんなぎこちない状況で、「なんだか運転したくないなぁ〜」だとか「もういいかなぁ〜運転。だってこんなかっこ悪い思いしてまで運転する必要ないんじゃないか」とか思って運転をやめてしまおうという動機が出てきてしまうわけです。当然ですが、ここでやめてしまってはステップ1に逆戻りです。何でもできるようになるためには、この「ぎこちない」段階をいかにクリアするか?これが重要だと思います。


さて、「素人とプロの違い」という話を戻しますと、私は第4ステップ「無意識でできる」状態がプロだと思っています。で、1〜3は「素人」なのだと。無意識にできて初めてプロなのだと思います。


で、今までのお話は「車を運転する」という一つのことに対してお話してきました。「車を運転する」ということのプロは「無意識に運転できる」ということなのですが、人とはおもしろいもので、一つのことを達成したらより高度なものを求めちゃう生き物で、例えば、「タクシー運転手」とか「大型トラック運転手」などになりたいなぁ〜なんて思うわけです。

そうすると当然ですが新しい「スキル」が要求されます。これらの仕事は、さすがにただ運転できればいいというわけにはいかず、それなりの「スキル」が必要となってきます。するとまた新しい成長の4ステップを踏むことになります。「ただ車の運転する」ということであれば「プロ」だった人も、「大型トラックを運転する」の段階になると、「素人」に逆戻りなわけです。

これ、意外と苦しいですよね。何せまたあの「ぎこちなさ」を体験しないといけなくなるから。そして今回はさらに「普通の車ならプロ」の状態だからなおさらこの「ぎこちなさ」を受け入れることがつらくなるわけです。何せ普通の車の運転ならプロですからね。惨めな思いをすると、すぐに「ほら〜オレ普通車運転できるだろう〜」ってできるほうに戻っちゃったりして、何とか自尊心を保とうとしちゃったり(笑)


人は常に成長を求める生き物だとすると、「素人」⇒「プロ」⇒「素人」⇒「プロ」・・・というステップを踏みつづけることになります。なのでどこに視点を置くかで人は「プロ」にも「素人」にもなるわけです。


で、「プロと素人の違いは何なのか?」といわれると、私の最終的な結論は、

・成長のステップをぐるぐる回して、圧倒的な成果を出すことができる
・その成果をほかの環境でも出せる、再現性

なんだと思います。一つのことを極めた人は、多分ほかのこともやろうと思えばできるといわれるのはそのためだと私は思っています。

つまり、プロとは「何かができる」というより「何かができるようになるまで成長のステップを回し続けることができる人」なんだと思います。

そして、「プロ」から「素人」に戻ることをいとわない。いやむしろ積極的に「素人」へ戻っていく人たち。それこそが本物の「プロ」なんだと思います。



「素人」、いいじゃないか。
人間全てが「素人」であり「プロ」なんだから。

そんな「素人」で「ぎこちない」自分でいいじゃないか。
だって、そこを超えたらまたプロだから。。。

先輩はそんなことを言いたかったのではないかなぁ〜なんて今は思うわけです。

果たしてあっているのでしょうか?
(この前一緒に飲んだときに聴いたのですが、教えてくれませんでした。。。)

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<次の題名募集>

せっかくなので、このBlogの最新記事を読んで、コメント欄に、「次に書いて欲しい題名」を募集したいと思います。1記事に対して先着1名様まで。

先着1名様、「あなただけ」の文章を書かせていただきますので、どしどしご応募ください。

ちなみに、簡単なルールがありまして、

・題名はしりとり形式で進む(今回であれば「し」から)
・いただいた題名が最後「ん」で終わるのはなしで
 (その時点で終わってしまうので。ああ、もうやめろってことねって悲しくなりますのでやめてください(笑)

です。それではご応募お待ちしております。