武士

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「武士道とは死ぬことと見つけたり


武士について語ると必ず出てくる言葉です。がしかし、この言葉があまりにも有名すぎて、この言葉が語られた書物やその作者が誰なのかを知る人はあまりいないでしょう。

書き主と書物の名前は、肥前国佐賀鍋島藩藩士・山本常朝著『葉隠』で、その中の一説がこの有名な言葉だそうな。がしかし、中身のほどは私も読んだことがないのであまりわからない。勉強不足です、はい。


さて、やっぱり武士について語るとするならば新渡戸稲造の『武士道』をはずすわけにはいかないでしょう。その中で武士道についていくつかの要点がまとめられていますが、もっとも大切なことだと私が思うことに、

武士道は、戦う貴人が職業だけでなく日常生活においても守るべき道で、「騎士道の規律」「ノーブレス・オブリージュ」(身分高い者に伴う義務)である。

というくだりがあります。この文の意味するところは、ただ武士として戦っていればよいのかといったらそうではなく、日常生活、もっと言ってしまえば生きている間中「その武士」という役に与えられた義務を全うすべしということです。

で、誰に対して義務をおうのか?実はコレがミソだったりします。近場でいくと仕える主人に対してですが、実はそれだけではなく、社会、国、そして自然そのものといったより大きな抽象的な存在をも含んで責任の対象としていると解釈されているのです。だからこそ、主人に仕える身であっても、主人が社会の正義に反することを謀ろうとするならば、身をもってそれを制すなんとこともあったわけです。


翻って今の日本。最近よく話題にあがるのが「モラルハザード」という言葉です。近々ですと、三菱東京UFJ銀行社員が英国にて金利操作を行っただとか、野村證券社員がインサイダー取引に手をだしたなど、明らかに社会正義に反することが起こっています。これからの仕業は実は日本人ではなく、外資系の金融会社から引き抜かれた人間(おそらくリーマンブラザーズ系)が起こしていることだと推測されますが、(かつ契約上問題社員の名前を出せないようになっている)ようは何でそんなしょうもない人材を採用してしまったのか?というところに尽きると思います。

儲けることができればそれでいい、だからトレーダーとして実績のある人間であれば多少の人間性は目をつぶろう。そこまでいかなくても、第一義的に儲けることが目的となっているため、儲けられるかどうか「だけ」で人を見ていて、その手法やその人間のあり方までは採用のときに見ていなかったのでしょう。そんな近視眼的、モラルハザード的会社に果たして未来があるのでしょうか?


私は常々、日本は大切な「何か」を忘れてしまったと書かせていただきましたが、その何かを忘れてしまったために今のような混沌とした社会を作り上げてしまったのだと考えています。

ではその「何か」とな何でしょうか?

私はまだまだ勉強不足で、それをまとめて書くためにはまだまだ考察が必要なのですが、その一つが「武士道」の中に現れている「社会性と社会に対する在り方」なんだと思っています。

こうやって書いてしまうと少々難しく聞えてしまいますが、簡単に言うと、

「世のため人のため」

というおばあちゃんやおじいちゃんが言いそうな、素朴なことなのです。

そして、日本はそういうことを何かの「結果」であらわすだけでなく、日々のその人自身の「あり方」で示していたのです。示していたとかくと少々悲しくなるのですが、チョット昔まではということです。

戦後から高度経済成長の前までは日本には、明治生まれ、明治より前の生まれの方々がいらっしゃいました。その方々はちょんまげや刀は持っていませんでしたが、その「精神」は持ち合わせていたのでしょう。まさに武士です。

が、その世代から我々の世代へとその精神は受け継がれているかというと、残念ながら断絶しているといえるでしょう。高度経済成長時から「あり方」を忘れてしまい、「結果」のみを追い求めるようになってしまいました。私はそう考えています。

そして「結果」のみを追求してきた社会、それが今の高度に発達した(あえて発展とは書きません)資本主義社会であり、結果さえでればどんなことをしたってもよいというモラルハザード社会なのです。儲けるためには人を出し抜いてもいい、もっとたくさんの売上げを上げるために、日本で生産できるような農産物を海外から輸入して、間の輸送費の無駄を見てみぬふりをする。そんな矛盾に満ちた食材を何食わぬ顔をして食べる私たち。

そこには個人個人が「どう生きるか?」という「あり方」がないのです。あるのは重苦しい空虚感だけです。


今こそ私は一人一人が「どう生きるか?」という「あり方」レベルで生きることをもう一度選択しなおすチャンスだと思っています。目の前の結果ではなく「あなたが日本人として、そして地球人として、また一人の人間としてどう生きるか」という「あり方」から変えていく。そうすることで、きっと日本は輝きを増していくことでしょう。


「武士道とは死ぬことと見つけたり


といわれますが、私はあえてこう言いたいと思います。


武士道とはどう生きるか?というあり方を実践する文字通り生きる「道」であると。

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<次の題名募集>

せっかくなので、このBlogの最新記事を読んで、コメント欄に、「次に書いて欲しい題名」を募集したいと思います。1記事に対して先着1名様まで。

先着1名様、「あなただけ」の文章を書かせていただきますので、どしどしご応募ください。

ちなみに、簡単なルールがありまして、

・題名はしりとり形式で進む(今回であれば「し」から)
・いただいた題名が最後「ん」で終わるのはなしで
 (その時点で終わってしまうので。ああ、もうやめろってことねって悲しくなりますのでやめてください(笑)

です。それではご応募お待ちしております。