時代の大転換期に起こること2


皆さんこんにちは。くぼみちです。

前回は「時代の大転換期に起こること1」と題してお話させていただきましたが、今回はその続きです。

1では時代の大転換期に「今までの価値観が飽和してくる」ということを家電などの事例を用いてお話させていただきました。価値観が飽和してきて、既存の価値観のまま何かを行動に移しても問題の根本解決には繋がらず、かえって状況が厳しくなることをお話させていただきました。

というわけで、このような状況になった場合、客観的に考えると、

「じゃ〜既存の価値観を捨てて新しい価値観のもともう一度やり直したらいいじゃん!」

と普通は思うことでしょう。私も最初はそう思っていました。

がしかし、個人個人のレベルであれば、さらっと解決できるものも、多くの人が絡む、こと社会のことにおいてはそんなに簡単に変ることが出来なかったりします。

そうなんです、時代の大転換期に起こること2つめは

「今までの価値観が新しい価値観に変化することに抵抗する」

ということです。これは変化が起こるときに必ず起こる事象だといえます。

まずはわかりやすく個人のことを例として考えてみましょう。

とある大企業に勤めている田中さん。ひょんなことから東京本社勤務から福岡へ転勤となりました。Aさんは「コレは左遷か?何かヘマしたかな?」と不安に感じたりします。が、しかし会社の命令ですから従わざるをえません。「しかし〜福岡か。。。東京から遠いし、オレ一回もいったことないんだよなぁ〜正直どんなところなんだろう?やっていけるだろうか?」なんて考えながら帰宅。奥さんに話してみると案の定、

「何いってるの!!福岡なんて田舎にいけないわよ!!子供の教育どうするの?向こうに行ったら変な方言が見についちゃって、きっとこの子の将来にとってよくないわ!!アナタ一人だけで行ってよ!!」

といった感じで今の現状を変えようとすると、当然ながら人は不安になります。そして周りの人も当然ながら変りたくなかったりします。人は生来変化を拒む習性があり、とにかく今を維持しようとする力が働くのです。そしてそれは自分だけではなく、周りの人、環境も同じようにアナタが変化することに抵抗します。こんなことがなぜ起こるかは、また機会をあらためてお話させていただくとして、人は変化を拒む生き物であるということをまずは覚えていてください。

さて田中さんしぶしぶ福岡へ単身赴任となりました。どんな生活をしているでしょうか?まだ不安の真っ只中にいるでしょうか?

「おう田中!!」と声をかけたのは同期の加藤さん。加藤さんは入社以来の友人で、一足先に福岡へ転勤となっていました。「加藤!久しぶりだな〜いや〜福岡転勤になっちゃったよ〜どうなの?この街?オレわからなくて不安でさ〜」

「田中久しぶりだな。いやオレも最初に転勤になったときは、正直不安だったよ。でもこの街住んでみると最高だぞ!まずは物価が安い!そして地獄の通勤ラッシュも東京なんかと比べたらかわいいもの。そしてなによりメシがうまい!!論より証拠。よし今日は屋台に行こう!田中の転勤祝いだ!!」

案外人はその環境に入ってしまったら楽しむことが出来るようになるものです。ようは「抵抗するのをやめれば楽になるぞ〜」というわけです。(笑)こう書くと怪しい勧誘みたいですが、抵抗することを手放せればいいわけです。

が、先ほどお話したとおり、個人レベルで抵抗することを手放し、変化することはそれほど難しいことではないのですが、規模が大きくなれば大きくなるほどそれだけ変化することが難しいのは容易に想像できるかと思います。

なぜ優良大企業が、新興のベンチャー企業に負けてしまうのか?これも上記に通ずるものがあります。

それは大企業がゆえに変化することに抗う力もまた強く、そして調整に調整を重ねているうちにあっという間に追い越されてしまうからです。大企業であれば変化ではなく今のままでいたいという人たちも沢山存在するわけで、当然それが抵抗勢力になって、変化を拒むわけです。

で、今話題にしているものはもっともっと大きな日本という国の大転換期についてです。当然ですが多くの組織、多くの団体、そして世代がそれぞれ共通の「より多く、よりよく、より高機能」の精神で生きています。がしかしこれからは「つながり、絆、やりがい」といった精神に変っていくことは今までお話したとおりです。

企業は「業績」というもので評価しているので、去年より今年、今年より来年と拡大することを前提としています。それが、

「もうそんなにいらないよ。それよりもっとシンプルなものがいい」

なんてなってしまったらそれこそ売上が上がらないわけです。だからこそ抵抗するのです、それでは困ると。日本の電化製品がどんどんハイスペックになってどんどん使えなくなり、ユーザーが離れているにもかかわらず、メーカーはその路線を止められないのは、

自己否定であり、止めたら自分の首を絞めると思っている

からだったりします。家電メーカーだけではありません。全ての企業は売上を拡大していくことが目的となっているため、今の消費者のニーズを汲み取ると、売上が下がってしまうわけです。

金融も同じです。とにかく売上を上げていくことを追求したがために多くの金融会社が実態のともなわない金融商品を多数作ってしまい、その実態の伴わない金融商品をまとめたり、分割したり、他の金融商品と組み合わせたりしてさらに実態のない商品をつくって売りさばいていました。

結果はご存知の通りの金融危機です。今思うと実態の伴わないものなのですから当たり前の結果ですよね。がしかしその中心にいたウォール街の金融マンがこんなことを言っていました。

「わかっていたんだ、こんなことは意味がないと。そしてこのまま続けていると実体のない化け物が世界を飲み込んでしまう。がしかしそこで我々がその手を止めてしまったら自分達がババを引く。だから止められなかったんだ」

うすうす気づいていたのです。が、変化することに抵抗した結果が未曾有の金融危機です。もっと早く止めて、変化のほうへ舵を切っていればといっても後の祭りです。

ではこの金融マンは気づいた時点で止めることができたのでしょうか。これは非常に難しい問題です。なぜならば止めることは世界のことを考えたら正しい。がしかし、止めたことによって会社が倒産し、ソコに勤める多くの人とその家族を路頭に迷わせるかもしれないのです。あなたはこんな状態で、正しい選択をできるでしょうか?

実は大転換期にはこうした、どちらもみんなが納得する、満足するといった答えがなくなり、必ずどこかに「犠牲」を強いるような選択をしなければならなくなります。そのため多くの人が「現状維持」をいう選択をするわけです。言葉を変えると「変化に対する抵抗」といえるでしょう。

しかしながら、金融マンの教訓が教えてくれるところによると、現状維持はかえってヒドイ状況を作り出してしまうというわけです。まさにジレンマですね。

最近大企業の不祥事や官僚の腐敗など、日本社会で様々な問題が浮き彫りになってきています。上記を踏まえるとこれからどんどん問題が噴出することでしょう。なぜならば今まで見てきたように「大転換期には既存の価値観が変化に抵抗する」からです。そして抵抗すればするほどそれだけ問題が大きくなるからなのです。(そしてこれは日本の高齢化社会問題についても同じことが言えますが、コレはまた別にお話させていただきます。)

さて、まとめますと、

時代の大転換期には「今までの価値観が新しい価値観に変化することに抵抗する」ために、多くのものが「現状維持」を選択してしまう結果、問題をもっともっと大きくしてしまいます。そのためこれから多くの深刻な問題が噴出すると言えるでしょう。

以上が時代の大転換期に起こること2となります。次回はその3について書いていきたいと思っています。

本日も長文を読んでいただきありがとうございます。