河本さん母生活保護受給は「違法」なのか?

皆さん、こんにちは。くぼみちです。

チョット以前に『河本さん母親生活保護受給問題について思うこと』と題して書かせていただきましたが、その中で、私は

「河本さんが直ちに「違法」というわけではない」

とお話させていただきました。

で、そのときは自分で法律を読んで「多分」違法ではないと思っていたので書かせていただきましたが、専門家の意見で非常にわかりやすいものがありましたのでご紹介させていただきます。

『神戸山手法律事務所』生活保護と扶養義務

簡単に要約すると、

生活保護は、憲法25条に基づいて、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するもの。(生活保護法1条)。

生活保護法は、扶養については、民法で定める扶養義務者の扶養は、この法律による保護に優先して行われるものとする(4条2項)

・この場合の扶養義務者の範囲は、基本的には、民法877条1項により、直系血族(親と子、祖父母と孫)、兄弟姉妹

というわけで、生活保護は親族による扶養が優先するのですが、この規定は扶養義務または扶養義務者に対する扶養請求が保護の実施要件となることまでを定めるものでは「ない」ということが今回のミソです。

ようは、親族の扶養が優先されるが、必ずしも扶養されていなくても生活保護が受けられるということになります。で、親族の扶養には法的義務(ないしは拘束)はないので、結局各市町村長(実際には現場の社会福祉事務員のかた)が親族に扶養能力があるか?また扶養能力があるのであれば、それがなされているかを確認し、費用を徴収するといった「任意」なものになってしまいます。

ようは、事務員さんが忙しかったりしたら、「まぁ、この人厳しそうだからあんまり調べなくてもいいか」となってしまうわけです。別に現場の事務員の方を責めているわけではなく、法的拘束力がない以上、事務員のいわば「がんばり」で運営されているわけなのです。
忙しいところであれば、書類見てまぁ〜OKかな〜とかやってしまったりもするわけです。法的拘束力がないというのはようはこういうことです。

なので、生活保護をうけるべき本当に苦しい人には厳しくなったり、受ける必要のない人が受給されているという意見はナンセンスです。上記のとおり、そもそも法的拘束力がないので、ケースバイケースになっているというだけなのです。

以上のように、河本さんは「違法」ではないので、「不正受給」とは言えないのというのが今回の結論です。
この制度のよし、悪しに関しては色々な意見があるかと思いますが、現状は「不正受給」ではないということなのです。

ちなみに私が、そもそもコレだけ核家族化、別世帯での生活化、両親共働きが進んでいる中で、扶養を国民に押し付けるような制度自体にそもそも「無理」があるんじゃないかと思います。昔は3世代同居は当たり前で、家の近くで仕事をしていて、生活が家族とともにあったわけです。
しかし現実はそんな「Always三丁目の夕日」みたいな世界なんて日本のどこにもありません。どう見ても今生活保護の考え方が時代に即していないのす。

というわけで、今後は今の時代に即した、また次の時代に日本はどのような国にしていきたいか?という理念からスタートして、制度のリニューアルが必要だと思います。

というわけで、本日もありがとうございます。


が、みなさん、気をつけてください。『河本さん母親生活保護受給問題について思うこと』でも書きましたが、国は現状とはかけ離れたことをしようとしています。「子供が親の面倒を見る」ことの義務化です。このどさくさにまぎれてやろうとしています。ようは社会福祉費用を国民に押し付けようとしているわけです。
世間で流されている情報に踊らされず、「誰が」「どんな意図で」情報を流しているか、ぜひ考えてください。